前編では基礎・比較・導入・費用・権限までを整理しました。後編は置きかえ例(後半5例)と、連携・定着・FAQ・まとめを一気に仕上げます。(前編は「基礎〜導入の道すじ」を解説)
【5つの具体例|後半】Excel業務をkintoneで置きかえる
6)問い合わせ
Webフォームやメールの受信をつなぎ、到着した連絡を自動でチケット化。担当の自動わり当て、期限前リマインド、未返信の掘り起こしまで一気通貫。やり取りはチケット内に残り、引きつぎが楽になります。
7)稟議(りんぎ)
申請フォームに必要最小の項目をそろえ、金額・区分で承認ルートを自動分岐。差し戻し理由はテンプレを用意して記録に残し、次回の書き方をそろえます。外出中でも承認が進み、滞留が減少。
8)タスク管理
親子タスクと期限リマインドで「今やること」を共有。担当に自動通知、完了はワンクリック。会議前に同じビューを開けば、優先順位の認識ずれが解消します。
9)工数(こうすう)記録
「どの案件に何時間かかったか」を軽い入力で記録。人・案件・作業種別で即集計でき、見積の見直しやアサイン最適化に効きます。
10)点検・保守
スマホでチェックリストを開き、写真・位置情報をその場で添付。是正が必要な項目は自動でタスク化。あとから強い記録になり、説明責任にも耐えます。
連携と拡張:Microsoft 365や会計/電子契約とのつなぎ方
Microsoft 365:新規案件→Teams通知、関連ファイル→SharePoint、期限の近いタスク→Outlook予定。情報の元はkintone、会話とファイルはM365に役わり分担。
Power Automate:「もし◯◯なら△△する」を一文で。新規レコード→通知、期限2日前→担当へリマインド、見積承認→PDF保存など、小さく自動化。
会計(freee/弥生/マネフォ):取引先コードや品目名をそろえるため、名前の辞書を先に用意。最初は見積→請求の片道から始めると安全です。
電子契約(クラウドサイン等):承認通過で自動送付、回収状況をレコードに書き戻す。最新ファイルの迷子を防ぎます。
問い合わせ・マーケの入り口:フォーム/広告/チャットの流入を1枚のチケットに統合し、流入元(UTM)を記録。反応の良いチャネルを把握できます。
プラグイン/JavaScript:標準で足りない所はプラグイン、最後の数%だけJSで補修。見た目より入力の短さ・迷いの少なさを優先します。
つなぐ前の小さな設計:主キー(何で一意にするか)/更新の向き(どちらを正とするか)/失敗時のふるまい(ログ・再実行)。この三点を一行メモで共有すると、障害時の切り分けが速くなります。
セキュリティと監査:権限は必要最小から足し、外部連携は秘密鍵やIP制限を使用。だれがいつ何を送ったかの記録を月1回チェックし、通知は大事な合図にしぼります。
社内定着を加速する運用設計(教育・テンプレ・KPI)
初週:朝3分の画面共有→昼に1回入力→夕方ふりかえり。手の記憶を先につくる。
役割:作る人は「項目を増やさない勇気」、入力する人は「速い順番」、見る人は「いつ・どの画面を見るか」を決める。
テンプレ:「顧客名・担当・期日」を上に固定、見る画面は「今日」「期限間近」「完了」の3つに。
係(チャンピオン)制度:各部署に1名のきんとーん係。週1で集まり共通の直しかたを共有。スクリーンショット1枚の報告で十分。
KPI:提出率・承認日数・修正回数の3指標を自動で拾い、週30分の短いサイクルで回す。
ふりかえりの型:「よかったこと/困ったこと/やめること」を30分で一問ずつ。直す約束は1個にしぼり、翌週必ず結果を確認。
旧Excelとの橋わたし:旧Excelは2週間だけ読み取り専用で残し、差分を一緒に見て言葉のずれを直す。切り替え日はあらかじめ明示。
ドキュメント:A4一枚のチートシート+1分動画を「入力」「承認」「検索」で用意。新人配属時の説明を最小化。
成功共有:提出が早かった人や承認がスムーズだった週を即日称賛。月1の軽い表彰で真似が広がる。
定着チェック:週次は提出率とつまずき件数、月次は「紙と転記の削減数」。数字と画面を同時に見て、来月やめる作業を1つ決める。
よくある質問(FAQ):kintoneとは わかりやすく要点整理
- QExcelとなにがちがうの?
- AExcelは「表」の道具、kintoneは「仕事の流れ」をまとめる土台。入力・承認・通知・履歴まで一体で管理できます。
- Q何人から使える?小さい会社でも大丈夫?
- A数人から問題なく開始。まずは3〜5人のパイロットで手ごたえを見てから広げるのが安心です。
- Qスマホやタブレットでも使える?
- A使えます。外出先で検索・入力・写真添付まで可能。現場運用に強いです。
- Qセキュリティは心配ない?
- A権限で「見る・入れる・直す」を細かく分けられ、通信は暗号化。変更履歴も自動保存で監査しやすいです。
- Q社外の協力会社とも共有できる?
- Aできます。見せる範囲をしぼり、案件ごとの必要画面のみ閲覧に。編集は社内に限定すると扱いやすく安全です。
- QいまのExcelはそのまま移せる?
- A列名をそろえれば読み込みOK。ただし「項目をへらす・言い方を合わせる」下ごしらえ後の移行が近道です。
- Qどれくらいで効果が出る?
- A小さなアプリなら1〜2週間で体感が出ます。提出率・承認日数・修正回数の3指標で変化を確認しましょう。
- Qノーコードだけで足りる?開発は必要?
- Aまずは標準機能で十分。どうしても足りない所のみ、プラグインやJavaScriptで薄く補います。
- Qバックアップや復元はどうなる?
- Aデータ書き出しや履歴の確認が可能。重要アプリは変更前スナップと月1のエクスポートをおすすめ。
- Q通知が多すぎて見なくならない?
- A未提出・期限切れ・差し戻しの3つにしぼって設計。必要に応じて少しずつ足して調整します。
- Q費用はどこで差がつく?
- Aユーザー数と期間が主因。ビュー中心で「見るだけ」運用を増やし、似たアプリの乱立を防ぐと見えないコストが下がります。
- Qひとことで言うと「kintoneとは?」
- A表を「仕事のしくみ」に変える土台。小さく作り、早く触り、数字で確かめる——この三歩で定着します。
まとめ:まずは1アプリから始めよう(チェックリストつき)
日報か顧客をえらび、項目をしぼって1アプリから。三人で二週間ためし、提出率・承認日数・修正回数の3指標を週30分で回します。通知は静かに、必須は少なく、言い方は社内ルールへ。30/60/90日で効果を数字と画面で共有しましょう。
チェック:ねらいを一文/言葉の定義をそろえる/旧Excelは2週だけ読み取り/チートシートと1分動画/切り替え日を決める。
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